【粉もん】ご当地のお好み焼きについて
似て非なる粉物?ご当地のお好み焼きを調査!
よく「広島風お好み焼き」というと広島県民の方はいい顔をしないという話があります。彼らにとっては広島風ではなくそれが「お好み焼き」。大阪の方のお好み焼きこそ「関西風お好み焼き」だという主張です。
ちなみに広島から瀬戸内海を挟んだ隣県の愛媛には「三津浜焼き」というお好み焼きがあり、広島風お好み焼きと似ていますが、作り方は違うとされています。
さらに、広島と大阪の間の兵庫には「にくてん(すじ焼き)」というお好み焼きの原形と言えなくはない独特の郷土料理がありますが、この「にくてん」が最古のお好み焼きという説があります。
このように小麦粉を使ったいわゆる「お好み焼き」テイストの郷土料理は各地にあるようで、それぞれ独自の呼び方があるみたいです。
また近年のB級グルメとして独自の粉物グルメを打ち出す地域もあるようです。
今回はそんな粉物を調査し、ご当地お好み焼きとしてリストにしてみようと考えております。
ご当地のお好み焼きリスト ※最終更新2024.3.21
お好み焼きは具を生地に混ぜて作る「混ぜ焼き」と、広島風お好み焼きのような薄く広げた生地の上にキャベツなどを乗せて焼いていく「重ね焼き(乗せ焼き)」の2種類に大別されます。
以下、それぞれの作り方と発祥の地をリストにしたものです。
(完成したらそのうち地図に・・)
■ご当地のお好み焼き(混ぜ焼きバージョン)
NO | ご当地お好み焼き | 概要 / 歴史等。 | 地域 |
1 | もんじゃ焼き | 鉄板の上にキャベツ等の具で土手を作り、その中に出汁で溶いた生地を流し込んで混ぜ合わせる料理。 もんじゃ焼きの発祥は東京で子供が小麦粉を溶いた生地を使って鉄板で文字の練習をしたことから「文字焼き」→「もんじゃ焼き」となった模様。 お好み焼きの元祖という説も!? | 東京 |
2 | お好み焼き | 小麦粉ベースの生地とキャベツや紅生姜、豚肉などを混ぜてから鉄板で焼く料理。 生地に卵を入れたり、具を変えることでさまざまなバリエーションあり。 大阪の名物として有名だが、ルーツは千利休が考案した「麩の焼き」(京都)や洋食焼きから発展した説など諸説あり。 | 大阪 |
3 | ねぎ焼き | キャベツの代わりに生地にねぎを混ぜて焼くのがネギ焼き。 お好み焼きの代替として、西日本では古くから家庭で食べられていた説あり。 ※先に生地を敷いてそこにネギを乗せる「乗せ焼き」スタイルのお店もある。 発祥は大阪十三のお店。 | 大阪 |
4 | モダン焼き | お好み焼きの生地を焼きながら、隣で焼きそばを炒めて、重ね焼きするのがモダン焼き。 ボリューム満点でモダン焼き定食は学生のご馳走。 家庭で作る場合は麺をぶつ切りにして、あらかじめ生地に混ぜて焼くスタイルが主流。 | 大阪 |
5 | イカ焼き | 小麦粉と鰹出汁、イカを混ぜたものを焼いたもの。 卵やネギを入れるパターンもあり。 梅田に行ったら食べておきたい名物のひとつ。 | 大阪 |
6 | かきおこ | 牡蠣の産地である岡山日生のご当地お好み焼き。1枚に10粒以上牡蠣が入っており大満足のご当地お好み焼き。 発祥は牡蠣の養殖が盛んな日生町で、売り物にならない小粒や傷がついた牡蠣を近所のお好み焼き屋に持ち込んで、お好み焼き入れて食べていたことから美味しいと評判になったとされている。 | 岡山 |
7 | 遠州焼き | お好み焼きの生地にみじん切りにしたたくわんを入れて焼いたもの。 たくわんの甘酸っぱい味と食感が特徴的。 たくわんの産地である浜松の家庭の味で、昔はお好み焼きと区別する場合は「田舎焼き」と呼ばれていた模様。 | 静岡 |
8 | 豆玉(豆天玉) | お好み焼きに金時豆の甘煮を入れたご当地お好み焼き。 ブタ玉、イカ玉という感じで「豆玉」というメニューが掲げられている。 徳島では甘く煮た金時豆をちらし寿司の具に入れる風習があり、そこから派生したものとされている。 「ダブ金」と言ってスライスした鳴門金時をトッピングすることも。 | 徳島 |
9 | ヒラヤーチー | 小麦粉と卵と出汁で生地を作り、ニラ、ネギ、シーチキンなどを入れて焼いた料理。チヂミに近い。 「平たく焼いた物」でヒラヤーチ。 | 沖縄 |
■ご当地のお好み焼き(重ね焼きバージョン)
NO | ご当地お好み焼き | 作り方 | 地域 | |
1 | にくてん(すじ焼き) | にくてん(すじ焼き)とは薄く伸ばした生地の上に牛すじやこんにゃく、じゃがいもなどを乗せて焼き、半分にたたんでソースをかけたもの。 前日に食べたおでんの残りの具を使って作ったのが発祥とされる模様。 基本的に前日の残り物を乗せるという方式のため、後に郷土料理の「すじこん(ぼっかけ)」や「どて焼き」のにくてんも誕生している。 ※この「にくてん」からお好み焼きに発展したという説あり。 | 兵庫 | |
2 | 洋食焼き(一銭洋食、ちょぼ焼き、ベタ焼き) | 小麦粉を水で溶いた生地に鰹節やネギ、とろろ昆布などを乗せて焼き、半分にたたんでウスターソースをかけたもの。 当時は醤油ではないウスターソースがハイカラだということで洋食焼きと呼ばれた模様。 大正時代の近畿圏の駄菓子屋で1銭で売られていたことから一銭洋食とも呼ばれている。 京都名物として「壹錢洋食」が出されているほか、近畿圏のお好み焼き屋でちょぼ焼き、ベタ焼きを提供している店もある模様。 ※洋食焼きが広島風お好み焼きなどの原形だと言われている。 ※その他、ちょぼ焼き、ベタ焼きという名称で屋台や縁日の露店で出されていた模様。 ※ちょぼ焼きはたこやきの元祖とも言われている。 | 京都 | |
3 | 広島風お好み焼き | 薄く焼いた生地の上にキャベツと豚肉を乗せ、ひっくり返してキャベツを蒸らしている間に隣で焼きそばを作り、その上に焼けた生地とキャベツ、豚肉を重ねて、さらに隣で卵を焼き、それに重ねて、焼き上げるお好み焼き。 広島ではこれが「お好み焼き」。 ※実はうどんバージョンも人気。 | 広島 | |
4 | 三津浜焼き | 愛媛のご当地お好み焼き。薄く広げた生地に味付けしたそばを先に乗せて、その後にキャベツ等を乗せていく順番が、広島風お好み焼きとは異なるとのこと。 最後に二つ折りの半月型にするのも特徴で、そのあたりは洋食焼きのなごりなのかも。 | 愛媛 | |
5 | 神戸モダン焼き | 焼きそばを作った後、隣で薄く広げた生地に乗せて、さらに生地をかけてひっくり返して焼いたもの。 神戸ではこのスタイルを「モダン焼き」として提供している模様。 もともと焼きうどんを生地で包んだのが元祖と言われている。 ※生地じゃなく卵で包んだバージョンがオムそば、生地で包んだのがモダン焼きという感じ。 | 兵庫 | |
5 | どんどん焼き | 小麦粉と卵を水でといた生地を薄く広げ、その上に青のり、桜えびやイカ等の具材を乗せて焼き、ひっくり返した後はソースを塗って完成。 発祥は東京とのこと。 現在は、山形、岩手、埼玉、富山などでソウルフードとして人気となっている。 ※山形ではどんどん焼きを箸に巻き付けるユニークなスタイルが定着している。 | 東京 | |
6 | 熊本ちょぼ焼き | 薄く広げた生地の上にきざんだたくわんと削り節、天かす、その他キャベツ、豚肉等をトッピングして焼いたもの。洋食焼きよりも生地のサイズが大きく、生地の両端を折り畳んで具を包むスタイル。 | 熊本 |
【余談】お好み焼きが混ぜ焼きと重ね焼きに分かれた理由を考察
上記のまとめをみると、子供のおやつとして洋食焼きが流行ったのが粉物文化が広がるきかっけだった模様です。
その流れは以下のような感じで推測できます。
洋食焼きからお好み焼き誕生の流れ(※妄想です)
・洋食焼きが子供のおやつとして流行る。「一銭洋食」という名称が広がる。
・家でも残り物を具にした「洋食焼き」を作るのが流行る。※兵庫の「にくてん」など。
・家で作るなら生地に具も混ぜた方が手っ取り早いと気づく。「混ぜ焼き」が誕生。
・家で「混ぜ焼き」スタイルの具沢山洋食焼きが流行る。
・お店でも大人向けの洋食焼きを模索。洋食焼きと区別するために名称を「お好み焼き」とする。
・最初は「重ね焼き」もあったが「混ぜ焼き」の方が提供も早く人気になる。
・客が自ら焼くこともできる「混ぜ焼き」が主流となり、混ぜ焼きのお好み焼き店が増える。
・やがて「重ね焼き」スタイルが廃れる。洋食焼きという名称も廃れる。
・広島など一部地域だけ「重ね焼き」スタイルが残り、やがて名物となる。
・差別化のために「重ね焼き」スタイルを取り入れる店も現れる。
、、というような感じで現在の「混ぜ焼き」スタイルのお好み焼きが広がったと考えられます。
ちなみに家庭で「混ぜ焼き」が誕生した流れを想像すると・・
混ぜ焼き誕生の秘話(※もちろん妄想です)
子供:「お母さん、洋食焼き作って」
母親:「じゃあ具に昨日のおでんの残りをいれるわね」
子供:「お母さん、お店と作り方が違うよ」
母親:「混ぜて焼いちゃえば一緒よ」
子供:「・・・、ほんとだ。同じ味だ!パクパク」
という感じですね。当たらずも遠からずといった感じのはず、、です!
あと、調べていて興味深かったのは兵庫の老舗のお好み焼き屋のメニューだと「お好み焼き」は混ぜ焼きのお好み焼きで、「モダン焼き」は重ね焼きスタイルでした。
大阪というか一般的にはモダン焼きは「混ぜ焼き」。それが兵庫にいくと、モダン焼きが「重ね焼き」になり、広島に行くと重ね焼きのモダン焼きが「お好み焼き」と呼ばれている。
名称もそれぞれの店によって独自に決めていて、伝言ゲームのようにズレていったということなのでしょうか。
おそらく大阪にも最初は「重ね焼き」のお好み焼きも存在していたが、お手軽な「混ぜ焼き」が流行りやがて「重ね焼き」は淘汰された、、という感じなのでしょう。
ご当地のお好み焼きがあれば教えてください!
今回調べてみると、B級グルメやソウルフードになりそうなご当地のお好み焼きがあることがわかりました。ご当地の名物をトッピングしたお好み焼きがそのうち出てくるのではないかと期待しております。
何かありましたら「#休日のおしながき」でお好み焼き情報を教えてください!
以上となります。
ご当地のお好み焼きリストは随時更新予定です。